平泉の本堂への道
世界遺産・平泉にある中尊寺といえば金色堂を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は金色堂と同じくらい重要な役割を持っているのが本堂です。
決して豪華な造りではないのですが、それがどこか日本人には馴染みやすく、親しみやすいといえるでしょう。
まずは参道を登って本堂へ向かいます。
参道は約500メートルですが、そのうっそうとした森を歩いていきます。
うっすらと靄がかかっていて、どこか幻想的な光景があたり一面に広がっています。そして参道を歩いていった先にあるのが本堂です。
山門をくぐるとそこにはたくさんの松が見えてきます。
竹で支えている松というのもどこか印象的であり、桜や梅の木など、日本庭園にはかかせないたくさんの木々が植えられていました。
ここは季節ごとに様々な風物詩をみることができるので、本堂との四季折々の景色もまたいいものです。
平泉の本堂とは・・・
本堂は中尊寺の中でも金色堂よりも大きくその規模も最大となっています。
中尊寺とは、この山全体の総称をさし、山内17カ所の支院で構成されています。
この本堂はかつて勢力をあげていた藤原氏の滅亡により、次第に衰退をしていきました。
その後の1337年には火災により多くの中尊寺の歴史的建造物が焼失してしまい、本堂もその影響を受けて焼失してしまいました。
その後多くの建物が再建をされていく中で、本堂は明治時代の1909年に再建されました。
中尊寺・本堂のご本尊とは・・・
本堂のご本尊は、阿弥陀如来であり本堂を参拝する方は「南無阿弥陀仏」と唱えるとよいとされています。
古くから伝わる儀式の多くはこの本堂で行われており、なかでも有名なのが、比叡山延暦寺より分火された「不滅の法燈」であり、現在では一山20〜23名ほどの僧侶が総出で行われます。
またそれに関係してご本尊脇にある灯籠は、「不滅の法灯」といわれています。
最澄がここに灯して以来、火が消えないことから天台宗の象徴的な灯として、天台宗の総本山延暦寺延暦寺から分けていただいているのだとか。
こうして遠い比叡山延暦寺とも火で、その心を一つにしているのかもしれませんね。
こうして考えてみると、こじんまりとした本堂であっても確かにここ中尊寺で中心的な役割を果たしていることが伺えます。
本堂に入るとどこか独特にお線香の香りと、歴史感じさせる雰囲気があります。
ここで参拝をするとどこか凛とした気持ちになって、心が洗われるような気がするから不思議なものです。
中尊寺といえば金堂と思いがちですが、ぜひここ本堂に足を運んでこそ本当に平泉・中尊寺のよさが理解できるのでしょう。