小笠原諸島を構成する島々
世界遺産・小笠原諸島はなぜあれほどまでに美しく、そして自然豊かな場所として育んでいったのでしょうか。
それは小笠原諸島の地形を考えてみると様々なヒントがあることがわかってきました。
小笠原諸島では現在一般の人が暮らしているのは母島と父島のみで、一般的にはこの2つの島が有名です。
実は小笠原諸島は聟島列島、父島列島、母島列島、硫黄列島、沖ノ鳥島、南鳥島、西之島までが小笠原諸島には含まれています。
今回ご案内するのは小笠原諸島の地形とその歴史について考えてみたいと思います。
小笠原諸島が世界遺産に登録をされた大きな理由
小笠原諸島が世界遺産に登録されるにあたって、注目したい点はその特異的な「生態系」「生物多様性」に加えて「地形」と「地質」が大きな遺産価値として評価されていることです。
日本にはこれまでたくさんの世界遺産が登録をされてきましたが、小笠原諸島は日本で最初の「地形」と「地質」が評価された世界自然遺産なのです。
それには小笠原諸島の独特の地形とプレートの活動が大きくかかわっているのです。
小笠原諸島の地形の歴史とは・・・
小笠原諸島は4800万年前にフィリピン海プレートの下に、太平洋プレートが沈み込みを開始したことによって、海洋地殻の上に誕生した海洋性島弧です。
プレートから水が供給されたことによって、その時に特異的なマグマが発生して、無人岩(ボニナイト)となりました。実はこのボニナイトは非常に特異的な性質を持っており、地球上で唯一単斜エンスタタイトを含む高マグネシウムの安山岩なのです。
この活発なマグマが引き起こす海底火山活動は、約4500万年前まで続いていたと考えられています。
そしてその火山活動の結果、誕生したのが父島列島と聟島列島、約4400万年前に形成された母島列島なのです。
そして今でもこの火山活動は進行中であり、火山列島である硫黄列島で火山活動が進行しています。
小笠原諸島を訪れるとその美しい穏やかな海からはすこし想像しがたいですが、4500万年以上も前から絶えることのないこの活発な活動こそが小笠原諸島を生み出したことに地球の神秘さえ感じるものです。
このように小笠原諸島は,プレートの沈み込み開始から沈み込みを繰り返す中で、その変化の過程の地層が大規模に陸上に露出しているのも、また小笠原諸島の大きな特徴といえるでしょう。
小笠原諸島ではその絶え間ない火山活動、それに伴う生物や植物を目で感じることができる、世界でも稀にみるたくさんの特異性が集まっている場所なのです。
小笠原諸島を訪れたら、ぜひ太古の鼓動を見て、感じて、楽しめばきっとたくさんの発見があることでしょう。