奈良・世界遺産にも登録された法隆寺とは・・・
奈良県にある法隆寺は1993年に『法隆寺地域の仏教建造物』がユネスコの世界遺産に登録をされました。
法隆寺は推古天皇と聖徳太子が607年に本尊「薬師如来」を造られたのがはじまりといわれています。
その注目すべきは日本最古の木造建築であることですが、その謎はすべて解明されてはいません。
法隆寺にはたくさんの貴重な歴史的建造物がありますが、中でも今回は五重の塔の謎とその技術力について考えていきたいと思います。
法隆寺の五重の塔とは・・・
法隆寺の五重の塔は国宝にも指定されており、釈尊の遺骨を安置するもっとも重要な役割を果たす建物でもあります。
高さは31.5メートルで、法隆寺は再建か非再建の論争がありますが、710年ころの再建が有力説とされています。
法隆寺は日本における最古の五重塔であり、金堂とともに法隆寺のシンボル的存在となっています。
五重の塔の魔除けの役割を果たしているものとは・・・
五重の塔の先端には制動制の相輪が飾られています。
この相輪の目的は定かではありませんが、ストゥーパが起源とされ、サーンチーストゥーパとはインドにあるお釈迦様のお墓を意味します。
そのように考えれば仏教界でどこか奥深いつながりがあるのかもしれません。
そしてその相輪の下には、大鎌が4丁ついています。
長さ2mにもおよぶ大鎌は、雷をよせつけないといういわれがあり、これは魔除けの役割を果たしているのでしょう。
しかもこのように五重の塔に大鎌があるのは法隆寺だけといわれ、他に類をみないのです。
ちなみに鎌が上向きになったらその年は米が豊作であることを意味し、下向きになっていれば凶作であることを意味しているなどという説もあります。
この大鎌は法隆寺の七不思議の一つでもありますので、ぜひ法隆寺の五重の塔を訪れたら、注目してみてください。
五重の塔の誇るべき高い技術力
五重の塔は『ヒノキ』で作られており、なぜ1300年もの間天災、地震などにも耐え抜いたのかはとても不思議ですよね。
さらにいえば1300年前にそれほどの技術を持ち合わせいたことも日本の誇るべき財産なのかもしれません。
これは、「積み上げ構造」といわれる建築様式とよばれ、各重ごとに積み上げていく方法です。
塔の真ん中に一本の柱がありますが、これは各重とは切り離されている構造で、一番上の相輪を支えているに過ぎないのだとか。
この構造を使うことで、地震が起きても各重が互い違いに「揺れ」を振動して吸収する構造になっています。
さらに各重の柱が長さのわりには太くてしっかりしていることや、構造上の組物がしっかり組まれて変形しないように工夫がされていることも地震に強い要因とされています。
実はこれは現代社会の高層ビルの構造にも同じような方法が取り入れられており、それが1300年前の五重の塔に用いられていたことには驚きですよね。
そのため一度も地震や天災で倒れることなく、時代の推移を見守ってきたことはとても感動です。
法隆寺の謎やまだ解明されていないことが多くありますが、それが法隆寺の魅力なのかもしれません。