法隆寺の回廊とは・・・
法隆寺の回廊を観光しているとその趣のある柱がとても印象的で、決して派手ではない造りにもかかわらず、とても風情がある建築物が法隆寺の魅力ともいえるのでしょう。
法隆寺の中門の左右から五重塔と金堂を囲むように流れている回廊があります。
これは国宝にも指定されており、東回廊の長さは約76メートル、西回廊の長さは約72メートルと長い回廊となっています。
この長さが異なるのには、金堂と塔との釣り合いを考えているのだとか。
往時の伽藍に対する思慮深い技法が伺えます。
この回廊は東西の回廊は中門と経蔵、鐘楼、大講堂を結んでおり、その中に五重塔や金堂を置くこれは法隆寺の伽藍配置でもあります。
そしてこの回廊から眺める五重塔や金堂はまた別格で、軒があることで直射日光を避けられ、同じものをみてもどこか異なる味わい深い光景があります。
回廊には柱が並んでおり、シンプルながらもなんだかこの趣きのある光景は法隆寺の見どころの一つともいえます。
柱の反対側は縦に細い木をはめ込んだ連子窓が等間隔に配置されていて、回廊の少し暗くなった部分に差し込む太陽の光と柱を一緒に楽しむのもまた楽しいものです。
法隆寺の回廊の柱とは・・・
この回廊の柱をじっくり観察してみると、下から上まで決して同じ太さではないことが伺えます。
下から3分の1くらいのところが一番太くなっており、柱に少し継ぎ足したような跡がありますが、きっと老朽化に伴い補修をしているのでしょう。
それでもその柱の一つ一つが個性に思えてくるから不思議なものです。
法隆寺の柱について
法隆寺の柱はエンタシスの柱ともいわれており、上の部分と下の部分を徐々に細くなるデザインの柱のことを指します。
これはギリシャ発祥の建築方法ともいわれ、法隆寺のエンタシスの柱には檜が使われています。
このエンタシスという技法を使った柱を下から見上げると、まっすぐに安定しているように見える錯覚が生まれ、ギリシャのパルテノン神殿もこの技法を取り入れています。
これは巨大建築の柱に用いることが多いそうです。
しかし少し疑問なのが、ギリシャと日本が当時それほどまでに国交があったのかという疑問と、さらに遠く離れギリシャからこの技法が入ってきたとするならば、その途中の国でも見られてもよいはずです。
しかしながら、この柱の技法を用いた建築物が途中の国ではみられないことから、日本独自のものとも考えられています。
仮に日本独自のものだとしても、昔の人の思慮深い技法には驚かされます。
法隆寺の回廊を歩いて、ぜひ柱をじっくり観察して往時の時代の法隆寺に対する想いを感じてみてくださいね。