法隆寺の金堂とは・・・
法隆寺は7世紀に創建され、聖徳太子ゆかりの寺院として今もなお変わらず親しまれています。
法隆寺の建築物群は1993年に「法隆寺地域の仏教建造物」としてユネスコの世界遺産に登録され、さまざまな歴史的に重要な建築物や仏像、往時の技術が高い評価を受けました。
注目したい法隆寺の金堂の緻密な技術力
法隆寺のご本尊が安置されているのは金堂です。
一見、木造建築が故にシンプルな色使いで落ちついた雰囲気を呈している金堂ですが、そこにはよく目を凝らしてみると飛鳥時代の奥ゆかしい技術力が巧みに刻まれています。
五重塔よりも少し背丈は小さめですが、この金堂と五重塔を一緒にみると、法隆寺のその芸術性の高さを感じずにはいられないのが不思議なものです。
法隆寺の金堂はほぼ正方形で作られており、これは中国の唐より以前の時代の古い様式が残されているといわれています。
金堂の中には、天蓋に仏像が安置されています。
実はこの天蓋には遠くシルクロードから日本に伝わったといわれる唐草模様などが繊細に描かれていて、金堂の内部までに細やかな心遣いをする飛鳥時代の人たちに感銘をうけずにはいられません。
法隆寺の金堂をじっくり観察してみると・・・
金堂をじっくりと観察をしてみると、二階立てのような建築様式になっていますが、実はこの金堂の二階が実際には使われていないというユニークな特徴があります。
1階からの上り階段があるわけでもなく、二階部分にはちゃんと出入り口まであるというから驚きですよね。
法隆寺の金堂は権力の象徴として、往時の僧侶から外から崇められていたといわれています。
おそらく実用性というよりはピラミッドと同様に、権力を主張していたのでしょう。
法隆寺の金堂もエジプトのピラミッドも時代は国も異なるのに、どこか通じるものがあるというのもまた不思議なものです。
二階の卍くずしの曲線美はとても美しく、これは五重塔や中門などにも取り入れられている7世紀建築の特徴でもあります。
二階は外観を形成するだけの建築となっているため、仏像は一階の天蓋にかかげられています。
天蓋の周囲の壁面には、世界的に有名な壁画が描かれ、安らぎと奥ゆかしさを偲ばせています。
法隆寺の金堂の本尊
金堂の本尊として中の間に安置されている釈迦三尊像は、聖徳太子の冥福を祈るため623年に造らせた仏像であるとされています。
釈迦三尊像の表情は「アルカイックスマイル」は、どこか見るもの心を見透かされそうな鋭く、そして優しい表情です。
この厳かな雰囲気の中に長い時を見守ってきたその強ささえある表情です。
法隆寺の金堂の内部の建物、仏像などは歴史とともに磨り減っていたり、色が褪せているものも不思議と奥ゆかしさを感じるのもこの法隆寺の魅力でもあります。