訪れる者を魅了してやまない厳島神社
厳島神社の社殿は日本人だけではなく、世界各国の観光客と魅了するその美しい佇まいが、訪れる者を魅了しています。
この社殿は平安時代の寝殿造りといく建築方法でつくられました。
推古天皇の時代に宮島の豪族であった佐伯鞍職による創建がはじまりとなり、平安時代になって平清盛が今のような姿に改築をした歴史的変遷があります。
今回はこの美しい寝殿造りの社殿について考えてみたいと思います。
そもそも寝殿造りとはなに?
寝殿造りとは、平安時代に造られた平安貴族の住宅の様式のことで、主人が居住する寝殿という建物を中心に、東西南北に建物を配置し、それらを通路で結ぶ対称形の配置を基本とする建築様式のことを指します。
東西対照の配置をすることが基本とされていましたが、実際には対称のものではなかったものも多かったといいます。
屋根は檜皮葺きや入母屋造りとよばれる手法が取り入れられ、室内は板敷きで、畳は人が座るところにのみ置かれていました。
部屋を区切りはあまりなく、仕切りには御簾や几帳などが用いられた建築様式です。
そしてかの有名な平清盛も1146年に安芸の守に任官したことがきっかけとなり、厳島神社の造営をはじめました。
厳島神社の寝殿造り
厳島神社の社殿は何度とない天災や火災などにより修復が繰り替えされ、長い歴史の間には何度か手が加えられています。
現在の本社本殿は1571年、客神社は1241年の建築といわれていますが、造営当時の佇まいを忠実に伝える貴重な建物となっています。
特に寝殿造りの特徴ともいえるのが、約275メートルにも及ぶ長い回廊です。
そして寝殿造りの社殿の前面には能舞台や重要な儀式の場となる庭や池なども造られています。
瀬戸内海の穏やかな海を池のようにとらえた、平安時代の美に対する奥義を感じずにはいられない光景です。
大鳥居を背にして祓殿を正面からみると、中央の軒が左右に較べて一段高くなっているのは寝殿造りの典型的な工法なので、ぜひ注目したい点でもあります。
厳島神社の寝殿造りの謎
実は厳島神社の社殿をよくみてみると、左右が非対称の拝殿と本殿であることを発見できるかもしれません。
左右の回廊、祓殿および弊殿は、左右対称をなしているのですが、拝殿および本殿は正面から見ると柱の間隔が1間分左側に長いのです。
意図的にこのように造営をしたのか、造営上の都合でこのようになっているのかは定かではないのだとか。
これも厳島神社の謎であり、言い換えれば神秘的な厳島神社であることを暗に伝えているのかもしれません。
いずれにしても厳島神社は、平安時代末期の建築様式を知ることができる重要な歴史的建造物であることはいうまでもないでしょう。
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