三仏堂の前庭には金剛桜とは・・・
日光の三仏堂の前庭には金剛桜とよばれる大きな木があります。
ここは拝観時間のうちであれば特別に拝観券がなくても、桜を楽しめる場所として知られています。
訪れたのは冬のシーズンであったため、残念ながら桜を鑑賞することはできませんでしたが、この極めて大きい幹から春になればきっと美しい桜が咲き乱れ、人々を魅了することが想像できます。
今回はそんな金剛桜についてご紹介していきたいと思います。
金剛桜とは、輪王寺の本堂「三仏堂」の前庭にある黄芽のヤマザクラでその一本だけ堂々とたたずんでいるのもまた魅力的であります。
樹齢約500年の国指定天然記念物で、黄芽、白花大輪の山桜で花香が強く、開花時期がゴールデンウィークと重なることも多く、全国から見物客が集まる場所でもあります。
金剛桜とは・・・
実はこの桜は少しユニークな特徴があり、ピンクのつぼみが大輪の白い花を咲かせる山桜の突然変異種です。
その太い幹も特徴的であり、数本の支幹に分かれ、その基部の周囲は約5.7mに及ぶといいます。
満開のときには繖房状に3〜4花を着け、花茎は約3.8pで、極めて大輪であり、一本の桜からこんなにも壮大なスケールで楽しませてくれるのもまた金剛桜の魅力でもあります。
1936年に、金剛桜は三好理学博士の調査により、山桜の優れた突然変異種であることがわかり、それがきっかけで国指定の天然記念物に指定されました。
今に至るまでに何度となく樹勢回復治療が行われ、その甲斐もあって金剛桜は今日に至るまで美しい姿を見せてくれています。
金剛桜の生命力はもちろんのこと、それを支えるたくさんの人達の上にこの美しい姿が成り立っているに違いありません。
たくさんの人達の努力もまたそこにあるのですね。
金剛桜の由来とは・・・
1881年の明治時代において、日光山の総本堂である大伽藍「三仏堂」は、明治政府の神仏分離令に従い、現在の二荒山神社から現在の地へ移築を余儀なくされたといわれています。
そこで、三仏堂にふさわしい景観に変えるべく、山桜を植えましたが当時で樹齢400年ほどの古木でした。
地元の人達からはすぐに枯れてしまうとの懸念が高まり、時の門跡であった大僧正は、それを回避すべく熱心にお経を唱えたといいます。
すると枯れるどころか、その祈りが聞き入れられ、新しい幹が芽生え山桜はますますスケールの大きい美しい桜になったといわれています。
1898年に大僧正は亡くなった際に、「金剛心院大僧正ェ厚大和尚」という名前がつけられ、いつしか大僧正ゆかりのこの桜として、「金剛桜」と呼ばれるようになったといわれています。
この美しい桜を後世に残していけるように、私たちも美しい環境が整えられるように一人ひとりが心がけなければならないのかもしれません。
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