大火によって大半を失ってしまった薬師寺の復興の道のりとは・・・

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薬師寺

薬師寺の中を見学すると、とてもインパクトのある赤い塔がみえてきます。

これは薬師寺の西塔とよばれるもので、東塔に比べてとても鮮やかな印象です。

実はこの西塔はまだ歴史新しく、昭和56年に再建された比較的新しい建物なのです。

同じ塔でありながらもなぜ歴史や色使いが異なるのでしょうか。

薬師寺は680年、天武天皇が後の持統天皇の病気治癒を願って建立を発願されました。

697年に天武天皇が亡くなったのち、天皇となった持統天皇は本尊開眼をし、その後文武天皇に飛鳥地で堂宇が完成されました。

そして710年の平城遷都に伴い現在地に薬師寺が移されました。

しかしながら、薬師寺は大火によってそのほとんどが焼かれてしまいます。

今回はこの薬師寺の復興とそして薬師寺の今について考えてみました。

薬師寺

1528年の戦火によって、薬師寺は東塔を除く全てが焼失されてしまいました。

昭和42年、高田好胤(たかだこういん)によって薬師寺の復興が発願されます。

高田好胤は、献金などを一切受けずに写経によって写経料を集めて、その復興に力を注ぎました。

薬師寺は壇家を持っていなかったため、このようなかたちで支援を受けて、金堂・西塔・中門・回廊・大講堂が美しい姿で蘇りました。

そして今もなお、薬師寺では将来にもこの美しい堂塔伽藍が継承されるように、写経は進められています。

多くの人達に支えられて涙ぐましい復興を果たした歴史がそこにあったのですね！

薬師寺

唯一現存している東塔は創建当時のままその歴史ある面影を残しています。

実はじっくり東塔と西塔を比べてみるとその高さ微妙に異なることに気付かれる方もいるでしょう。

実は西塔の高さは東塔より30センチ高くなっているのです。

なぜ30センチ高くなっているのかというと、建物は年月が過ぎていくと、気候条件などの影響から木が次第に縮んでくるため、それを見越して敢えて高く造られているのだとか。

それは数百年先のことであるそうなのですが、そんなに先のことまで見越して美を追求した職人たちの心遣いにはなんだか心を打たれるものです。

きっと数百年先もまた同じように美しい姿でいてほしいという職人たちの願いもそこに込められているのかもしれません。

残念ながら焼かれてなくなってしまった西塔ですが、今は創建当時のまま東塔と復興された西塔その二つを見ることができるのは、今こうして世の中が平和であること、そして世界遺産に登録をされてたくさんの方々に支援された上でなりたっていることを痛感します。

その二つをみているとどちらにもその魅力がある・・・それが確かな薬師寺の魅力であることを感じる光景です。

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