奈良・薬師寺の東塔とは・・・
奈良にある薬師寺は古都奈良の文化財の一つの構成資産として、世界文化遺産に登録をされています。
薬師寺は法相宗の大本山で、創建当時は藤原京に建てられていましたが、平城遷都に伴い現在の地に移された変遷があります。
薬師寺は680年に天武天皇が発願をし、持統天皇によって本尊開眼され、文武天皇の時代に完成されました。
薬師寺の伽藍配置には重要な建築物がたくさん残されていますが、今回は東塔についてご紹介していきたいと思います。
東塔は唯一の現存の建物
創建当時より唯一薬師寺の中で現存している建物で、高さは33.6メートルあり奈良時代の建物となっています。
東塔はやはりその1000年以上の歴史を積み重ねてきた故に、建物内部は少々傷んでいるところもありますが、それでも東塔の1300年の歩みにはどこか重厚感さえ漂う力強さがあります。
東塔は、国内で現存している江戸時代より前の塔の中では日本で4番目の高さを誇っている仏塔です。
東塔の不思議な見かけ
薬師寺の東塔は一見六重の塔に見えますが、実は三重の塔で構成されています。
これは下から1番目、3番目、5番目の屋根は裳階(もこし)と呼ばれるものであり、中国を発祥の建築様式といういわれがあります。
塔を風雨から構造物を保護するための傘のような役割を果たしています。
東塔を守る役割を果たしながらも外観の美しさも兼ね備えた手法には、どこか日本の古来からの技術力の高さを伺い知ることができます。
その大小重なり合う屋根の美しさに東塔は別名『凍れる音楽』という異名を持って親しまれてきました。
注目したい東塔の水煙
東塔の上の方をよくみてみると、何か突き出ているものがみえ、これは青銅製の水煙とよばれるものです。
これはこの塔が災害などに合わないようにとの願いが込められた魔除けの役割を果たす役割があります。
また水煙には飛天像が透かし彫りされており、これは奈良時代の高い技術力を後世に伝えている誇るべき財産でもあります。
東塔の論争
現在の薬師寺にある東塔は二つの論争があり、東塔と本尊薬師三尊像は飛鳥の本薬師寺から移されたものか、もしくは平城京で新しいものとして建築をされたのか論争が二つに分かれています。
しかし、東塔は平城京で新しくつくられたものという見方が一般的となっています。
薬師寺の東塔は建物の老朽化に伴い、修復工事も進められています。
奈良時代の技術を残しながらも、現代社会の技術がしっかりと後世へサポートをしていく姿もいいものですよね。
2009年よりその工事が進められていますが、ぜひそのような目であたたかく東塔を見守り、また新しい薬師寺の東塔に会える日が楽しみなものです。
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