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東院庭園とは・・・

平城京

 

1967年、平城宮東張出し部の南東隅に大きな庭園の遺跡が発見されました。

 

東西に80メートル、南北に100メートルを誇る広大な敷地は『続日本紀』にみえる「東院」にあたることから、発見された庭園は「東院庭園」となづけられました。

 

平城宮は他の日本古代の宮殿の特徴とは異なり、東の張出し部を持ちます。

 

この南半は皇太子の宮殿があった場所で、奈良時代をつうじて「東宮」あるいは称徳天皇の時代には特に「東院」と呼ばれていました。

 

もともと古代の文献にはその記録が残されていたそうなのですが、本格的は発掘調査によってその全貌が明らかになりました。

 

この庭園は発掘調査とともに復元化がすすめられ1998年から一般公開されています。

 

庭園の中央には複雑な形の池を設け、その周辺に建物が配置されたこの庭はなんとも優雅で、奈良時代の天皇や貴族がここで重要な儀式などを行っていた様子が目に浮かんできます。

 

今回はそんな発掘調査によって全貌が明らかになった平城京の東院庭園についてご案内をしていきたいと思います。


東院庭園の池に注目しよう!

平城京

 

観光客はついついメジャーな観光どころである大極殿などに足を運びがちなため、東院庭園はいつでもひっそりとした佇まいをみせています。

 

でもそれがかえって奈良時代にタイムスリップしたかのような感覚が芽生えてきて、この庭園を独り占めできそうな気分になるのもここ東院庭園ならではの魅力といえるでしょう。

 

この庭は奈良時代に1回作りかえられているようで復元は後期のものだとか。庭園の中央にある逆L字型をした池には、中島があって、それぞれ庭園景観の焦点となるように作られているその緻密なつくりは、まさに奈良時代の技術力の高さといえます。

 

 

東院庭園の池は前期と後期の2時期に分けることが出来、前期の池は大きな玉石を敷き詰めただけのものであったのですが、後期の池では小礫を敷き詰めた浅い池となったと考えられています。

 

池の形も後期には入り江や中島が造られ、奈良時代には何度なく池がつくりかえられ、それに伴い建物も何度かたてかえられ、次第に見事な庭園に成長していったことがわかります。


東院庭園を散策して・・・

 

庭園の中で注目したいのは艶やかにかかる二つの橋で、平らな橋とアーチ型の不揃いのかたちの橋もまたこの庭園の趣を感じます。

 

なぜ橋の形が異なるのかといえば、それは発掘されたときは橋を支えていた柱から推測がされたといいます。

 

柱の間隔もまたそれぞれ異なっていた点から橋のかたちも異なっていたと考えられ、この二つの橋が復元されました。

 

奈良時代の優美な庭園は、次の自然の風景を取り入れることに重点をおいた平安時代以降の庭園の原形をもしのばせています。

 

平城京の中でも一際落ち着いた雰囲気のある東院庭園で、ぜひ優雅なひとときを過ごしてみてくださいね。

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