そもそも伽藍ってなに?
高野山における伽藍とはどのようなものかと問われてみると、なんとなくわかるような気がしながらも、具体的には説明が難しかったりもします。
今回はそんな高野山の伽藍について考えてみたいと思います。
伽藍とは本来僧侶が修行をする道場であり、静かで静寂な場所を意味しています。
そして高野山における檀上伽藍とは、真言宗総本山金剛峯寺の根本道場であり、金堂、根本大塔、西塔などの歴史的建造物が立ち並ぶ一画のことをさします。
ここには空海の「曼荼羅」の思想が反映されており、それに基づいて根本大塔、金堂等が配置されています。
実に長い年月をかけて完成された高野山の伽藍とは・・・
空海は816年天皇より高野山の土地を与えられ、そして819年にこの伽藍地域に歴史的建造物の建設に着手しはじめます。
しかしながら、高野山はとても山深いところであり、もちろん今のように道も整備されていなかったことから、非常に建設作業は難航を極めました。
その後、空海の甥によって、その空海に意志を引き継ぎ伽藍の建立が進められていきました。
そのためなんと根本大塔は887年と実に52年もの歳月をかけて完成されたまさに、当時の傑作ともいえる建設物なのです。
高野山において奥の院が金剛界の浄土と考えられているのに対し 、伽藍は胎蔵界の浄土とされており、ここに空海の深い想いが刻まれているのです。
空海の深い想いとは・・・
実はここ空海の教えとは宗派などのとらわれることのない、広い教えであったことは非常に注目すべき点でもあります。
また空海は、日本古来の神道の民族信仰に対してそれを規制することもなければ、批判することもなく、受け入れた上での真言宗の教えをここ伽藍において広めたかったのです。
これは非常に人々からも親しまれるようになりました。
しかし江戸時代になってからは、徳川幕府が神社御法度を公布して“他宗と交わるべからず”と規制した時代もありました。
そして今は真言宗に精通していなくても、初めて高野山を訪れた人でもあたたかく受け入れてもらえそうな優しい空間がここ高野山の伽藍には確かにあるのです。
空海は残念ながら高野山のシンボルである根本大塔の完成を待たずにして、亡くなってしまいましたが、こうして今もたくさんの人達に高野山が愛され、親しまれていることはきっと空海にとってもうれしいことに違いありません。
何か人生の節目や、分岐点にたったとき高野山の伽藍に足を運んで真言宗について学んでみれば、何かヒントが得られる場所なのかもしれませんね。
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