高野山の中でもマイナーだけど訪れたい西塔
高野山に西塔とよばれる少しマイナーな建物があります。
とてもシンプルな色使いで、少し見逃してしまいそうな歴史的建造物ですが、実はこれは金剛界大日如来と胎蔵界四仏が奉安されているとても重要な建物なのです。
今回はそんな高野山の西塔についてご紹介していきたいと思います。
ここは高野山の最大のハイライトである奥の院からは約3キロも離れた場所にありますが、ぜひ高野山の魅力についてもっと知りたい方にはおススメの場所です。
建設計画が遅れてできた西塔
西塔は弘法大師の遺志である伽藍建立計画案である『御図記(ごずき)』に従って、第二世真然大徳が仁和三年(887年)に建立されました。
その計画とは、大日如来の密教の世界を具体的に表現する「法界体性塔」として二基一対として建立する計画でしたが、諸事情により計画が遅れたといわれています。
そしてようやく887年に完成したのが、西塔なのです。
現在の西塔は五度目の再建にかかるというから驚きですよね。
それだけ幾度の天災にあったとしてもこじんまりとしていながらも、西塔はとても大切な役割を果たしていことが伺えます。
重厚感ある西塔の造りとは・・・
現在の塔は天保5年(1834年)に再建され、擬宝珠の高欄付多宝塔であり、柱間五間としてたてられ、高さは27メートルを誇るとても大きな建物です。
根本大塔や東塔とは異なり、朱色には塗られていませんが、そのシンプルな色使いがまた趣があります。
方形の初層にこれを覆う裳階(もこし)とその上に小さな覆鉢をおき、さらに大きな屋蓋で全体を覆うといったとても複雑な造りになっており、全体を見渡すととても重厚感のある建物となっています。
訪れた人はその高い建物を見上げるように、みてその重みのあるつくりと周囲の緑がまた一際、霊場・高野山としての魅了を引き立たせている光景です。
柱は外陣に20本、内陣に12本、中心に4本の合計36本を中心柱に加えて金剛界三十七尊を象徴しているといわれ、その込められた深い想いには驚かされます。
大塔の本尊が胎蔵大日如来であるのに対し、安置する石仏のうち中心は金剛界大日、周囲は胎蔵界四仏であります。
これによって金胎両部不二の深義をあらわしています。本尊の木造大日如来座像は、西塔建当時のもので、なんと高野山で最古といわれているから驚きです。
これは国の重要文化財に指定され、現在は高野山霊宝館に管理されています。
少しマイナーな西塔ですが、ぜひ高野山の静かな佇まいが感じられる場所なので、足を運んでみてくださいね。
関連ページ
- 世界遺産・『紀伊山地の霊場と参詣道』の広大な登録資産の魅力とは・・・
- 奈良・吉野に山奥に佇む『金峯神社』のその由来と歴史的背景を学ぼう!
- 高野山に畏怖堂々と聳えたつ大門の魅力とその歴史とは・・・
- 世界遺産・高野山金剛峯寺の門をくぐって、空海の世界へ行こう!
- 高野山に佇む・お助け地蔵に願いを叶えに行こう!
- 初夏の風物詩!高野山のあじさいの名所へ行こう!
- 高野山の伽藍の結界とされていた中門の歴史とその再現の様子を見に行こう!
- 電車編!霊峰高野山へお得にリーズナブルにアクセスする方法とは・・・
- 水とともに歩む神々しい天川村を訪れよう!
- 桜の名所として知られる吉野山のはじまりとは・・・
- 〜那智の滝〜 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を巡る!
- 高野山を蓮の花と見立てる八葉とは・・・
- 高野山における伽藍とそこに込めた空海の想いとは・・・
- 空海の教えの象徴である曼荼羅について考えてみよう!
- 高野山からドライブをして日本三大美人の湯、龍神温泉へ行こう!
- 高野山の開山のきっかけとなった三鈷の松とは・・・
- 高野山の神仏習合の歴史を今に伝える山王院本殿とは・・・
- 高野山の伽藍の意義とそこに伝わる伝承、そして空海の想いとは・・・
- 高野山の金堂の近くにある登天の松の由来とその伝説とは・・・
- 空海が入定した場所である高野山の信仰の聖地・奥の院の参道を歩こう!
- 六角経蔵を回転させてその効果を試してみよう!
- 那智の滝を望む雄大な景色が魅力!熊野那智大社へ参拝に行こう!
- 全国3600カ寺に及ぶ高野山真言宗の総本山・高野山金剛峯寺へ行こう!
- 高野山の中にある恋愛の神様・愛染明王が祀られた愛染堂へ行こう!
- 熊野信仰の神秘とその答えを見つけに熊野に出かけよう!
- たくさんの歴史的なエピソードが残されている吉野神社へ行こう!
- 高野山の聖域・奥の院へ足を運んでその厳かな雰囲気を感じよう!
- 高野山に残された伝説とその意義について考えてみよう!
- たくさんの日本一を誇る那智の滝に行こう!