日本の桜名所100選にも選ばれた吉野山
吉野山は毎年4月半ばから下旬にかけて桜が見ごろを迎え、たくさんの観光客で賑わいをみせる日本屈指の桜の名所でもあります。
2004年に吉野山・高野山から熊野にかけての一帯が『紀伊山地の霊場と参詣道』としてユネスコの世界遺産に登録され、また吉野山は日本の桜名所100選にも選定されています。
吉野山でもっとも多い品種の桜は、シロヤマザクラであり、約3万本が一斉に咲き乱れる光景は圧巻です。
また吉野山はその広大は範囲に及ぶことから、吉野山の麓から吉野神宮及びロープウェイ周辺を下千本、中千本、吉野水分神社の付近を上千本、西行庵一帯を奥千本と名付けられていて、開花の時期が少しずつ異なるのが特徴です。
4月の上旬から約3週間にわたって桜の花が吉野山をピンク色に染める様子はとても美しく、少しずつ暖かくなってきた春先に桜を堪能しながらハイキングをして、楽しむことができます。
南北に続く約八キロに渡る山々が、少しずつ異なるピンク色に染め、今年も春の訪れを確かに感じさせてくれる光景です。
吉野山の桜のはじまりとは・・・
7世紀末期に、役行者が金峯山寺を開山した際に、蔵王権現のお姿をヤマザクラの木に刻んだことがはじまりとされています。
これは次第に習わしとして浸透していくようになり、桜は神木となっていきました。
一つの枝でも折るものは、指を一本切るといったような厳しい掟が厳守されました。
そのため蔵王権現をお参りする際には、神木とされる桜の苗を寄進することが一番の供養になるという考えが浸透していき、平安時代頃から桜が植え続けられてきました。
そのためお参りをする信者たちがたくさんの桜の苗木を寄進したことにより、吉野山は次第の桜の名所となっていったといわれています。
今ではこのように美しい桜の花も、一本一本に往時の深い思いが込められていたのですね。
平安時代の桜の木々から、桜の名所として発展をした吉野山
かつて吉野山は山深いところであったために、雪としてのイメージが強かったそうなのですが、平安時代に桜の寄進がはじまったことにより、次第の桜の名所として春の名所としてイメージを変えていきました。
新古今和歌集には吉野山が桜の名所であったことを残す歌が数多く残されています。
その中でかの有名な西行も「願はくば花の下にて春死なむその如月の望月の頃」と詠み、吉野山はすっかり桜の名所として定着をしていきました。
奈良駅は電車で一時間ほどと少し遠い場所にある吉野山ですが、それでも毎年春になると多くの人達を魅了しています。
平安時代の寄進からはじまった桜をまた後世につないでいくのも私たちの使命に違いありません。
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