根本大塔の松が真言宗のはじまり!?
高野山の最高の聖地ともいわれている根本大塔の近くにはとても大きな松があります。
なんともいえない神々しさのある松で、よく調べてみるとこの松には空海のとても深い想いが込められた松であったのです。
今回はそんな根本大塔の近くにある松をご紹介していきたいと思います。
これは三銛の松とよばれるもので、弘法大師が唐で修業を終えて帰国している時に日本で真言密教の中心地はどこがよいのかと思い悩んでいました。
それを決めるべく、「伽藍建立の妙地を示し給え」と心に念じながら三鈷杵とよばれるものを空に投じ、真言密教の教えにふさわしい場所を選んだといわれています。
この三鈷杵とはインドの武器をルーツに持つチベット密教の法具であり、日本の密教でも用いられています。
両端の剣先の部分を銛といい、銛が一本のものを独銛杵、三本のものを三銛杵、五本のものを五銛杵といわれています。
そしてキラキラと光っている三鈷杵が、高野山の松の梢に引っかかった場所が高野山であったのです。
それを見た空海はこの地こそ真言密教の修禅にふさわしい地であるとして開山を決意したと伝えられています。
そして816年に太政官符をもって高野山の地を開山し、翌年に空海は高野山の地へわたり、現在の根元大塔の地を中心として伽藍を配置していきました。
根本大塔や金堂など、伽藍を中心とした一山を「金剛峯寺」と名付けたといわれています。
三鈷の松の伝説
通常は松の葉は2本なのですが、三鈷の松は3本あります。実は三鈷杵がひっかかったとされる松は、三鈷杵と同じく三葉の松であることから、「三鈷の松」としてよばれ、親しまれるようになりました。
そして次第に参拝者の間でもその伝説が広がり、この松の葉は縁起物として持ち帰ってお守りにするといいことがあるという云われが生まれていきました。
三鈷杵はどこにあるのか?
この三鈷杵は平安時代には一旦高野山から離れて、白河上皇が高野山へ登山されたおりに鳥羽宝蔵に納められていたという記録が残っています。
その後順徳天皇に譲られ鎌倉時代になって、また高野山に戻ってきたといわれています。
実はこの三鈷杵は今でも大切に保管されており、一般には公開がされていませんが何か機会があればみることができるかもしれません。
高野山の開山のきっかけとなった三鈷杵が今でも残されており、そして根本大塔の前にある松はいつしか縁起物となって親しまれていることは、ここ高野山が真言密教の総本山として選定されたことがきっとベストな選択であったことを物語っているような気がして、すこし微笑ましい気持ちになるのでした。
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